契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
2、利害一致の契約結婚
翌日。クリスマスの土曜日。
私は月に一度ある土曜日出勤で会社を訪れていた。
こんな日に仕事に出たい人は少なく、事前に出勤可能と提出していた私は案の定出勤日となっていた。
別にクリスマスだからといって特別な予定もない。なんら変わらないいつもの土曜日だ。
でも今朝は、いつも通り出勤して、バッグにつけている社員証がなくなっているというトラブルに見舞われた。
昨日まではちゃんとバッグについていたのに、どこで落としてしまったのかまったく覚えておらず、仕方なく人事部に行って再発行をお願いした。
会社からの帰り道で落としたか、それとも、昨日のクリスマスパーティーの会場で落としてしまったのか……。
逃げるように『HOTEL TACHIBANA』から帰宅して、しばらくなにもできずリビングのソファにかけていた。
急な展開にどっと疲れが押し寄せた感じだった。
その後少し落ち着くと、自分の姿を鏡に映して観察した。
ドレスも、ヘアメイクも、何度確認しても普段の自分とは一致するところがなくて不思議で。時間の許す限り変身した姿を目に焼き付けた。
その後、入浴して再び自分の姿を鏡で見ると、いつも通りの私に戻っていた。
数十分前の自分は幻だったかのように、まるで、魔法の解けた後のシンデレラのようだと思ってしまった。