契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「澪花、おかえりー!」
リビングに入ると、今朝同じくらいの時刻に出かけていった姉がキッチンに立っていた。
姉は私が働くツインタワーからほど近いラグジュアリーホテル『HOTEL TACHIBANA』内にあるカフェでバリスタとして勤めている。
「ただいま。早かったんだね」
「うん。この間残業したから、今日は早く帰っていいって言ってもらえて。帰りに買い物してこれたから夕飯作ってるよ、白菜鍋」
「お鍋いいね。今日寒かったし嬉しい」
キッチンに引っ込んだ姉から「手洗ってきなー」と声がかかる。
母が入院するようになってから、この一軒家で姉妹で暮らすことが普通になってきた。
お互いに仕事があるから、家事は分担。
朝食こそ適当に食べていくけれど、夕食はどちらかが作ったり、休みの日に作り置きをしたりして、うまいことやっている。その他の掃除や洗濯も同様に協力してこなしている感じだ。
「澪花が帰って来たら話そうと思ってさ、ちょっと聞いてよ!」
ふたり分の食事の用意を終えたダイニングテーブルに、作ってくれた白菜鍋を運びながら姉が声を弾ませた。