契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
パソコン画面の右下に表示される時刻は、間もなく十七時十五分。
仕事がひと段落した十七時を目前にした頃から、そわそわと落ち着かない気分に襲われ始めた。
本当に、またこの下に来るのだろうか……。
お昼休憩に私の落とし物を届けにきてくれた橘社長。
昨日パーティー会場で会った彼と、まさか翌日に再び会うことになるとは思いもしなかった。
終業時刻を尋ねられ、その時刻に訪れるなんて言っていたけれど、未だに半信半疑な気持ちでもある。
私と話がしたいなんて言っていたことが、私からすれば意味がわからないからだ。
『嫌ならこの場所を避けて帰ればいい』
彼はそうも言っていたけれど、本当に避けて帰ってもいいのだろうかと悩んでいる。
自分の気持ちだけを突き通せば、このまま顔を合わせず帰ってしまいたい。
男性と話すのはやっぱり苦手だし、関わりを持ちたくないから。
だけど、予告されているにも関わらず、それを避けて帰るのはあまりにも不誠実ではないかと思ってしまう。
やっぱり一度は顔を合わせて、お話できることはないと断らないと失礼だ。
そんなことを思っていた時、デスクの片隅に置いてあるスマートフォンが振動し始める。
表示された発信元が母親の入院する隣町の病院からのもので、慌ててスマートフォンを手に取った。