契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「もしもし? お母さん?」
『澪花? 仕事中? 今、大丈夫?』
「うん、大丈夫だよ。どうしたの」
そう答えながら、母の声の調子がいいことにホッとする。
『あのね、ちょっと驚く知らせを病院からされてね』
「え? 驚く知らせって?」
『うん。近いうちに、ベリが丘の総合病院へ転院することが決まったのよ』
「えっ……? ベリが丘の総合病院って」
『転院したら、即オペもしてもらえるって話で。心臓血管外科の名医って言われている先生が担当医になってくださるって──』
「ちょ、ちょっと待って」
突然始まった話しに頭がついていかない。
ベリが丘の総合病院に転院?
そんな手続き、私も姉もしていない。第一、ベリが丘の総合病院はうちでは治療費が支払えないため諦めていたのだ。
それなのに、どうしてそんな話になっているの?