契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


「どうしたの?」


 鍋をテーブルの真ん中に置いた姉は、鍋つかみを脱いでリビングのソファに置いてある自分のバッグへと向かう。

 その中からはがきサイズほどのカードのようなものを取り出した。


「これ、見てよ」

「なに……?」


 クリーム色のカードの真ん中にゴールドで印字された筆記体は、『Invitation』。ラメ混じりの雪の結晶が控え目にデザインされているセンスのいい招待状だ。


「うちのホテルで毎年あるクリスマス交流パーティーの招待状! オーナーが都合がつかないから代わりに参加したらって譲ってくれて」

「え、あのTACHIBANAで毎年あるパーティー?」


 思わず訊き返す。

 毎年十二月二十四日、クリスマスイブの日に『HOTEL TACHIBANA』で開催されているクリスマス交流パーティーは、古くからこのベリが丘で続く歴史あるパーティーだ。

 もともと、この地域は多くの財閥が土地を持ち、国内でも有名な高級住宅街と知られてきた場所。昔は上流階級の人間しか住んでおらず、一般庶民は近寄ることもできなかったと聞いたことがある。

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