契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


 時間の経過と共に、次第に確信に近いもので頭の中はいっぱいになった。

 私たちの親族や近しい人に、それなりに金額の大きな治療費を援助してくれるような富豪はいない。


 だとすれば、一体誰が……?


 そう考えた時、自然と頭の中に浮かんだのが橘社長の美しい顔だった。

 クリスマスの夜、母が入院している隣町の病院まで送り届けてくれたあの時、車内で母の容態について話した。

 そんな出来事があってからの、このタイミング。

 彼が匿名の援助をしてくれたんではないかと思うしかなかった。

 だって他に思い当たる相手がいない。

 もしも私の思い過ごしならそれでいい。

 でももし、橘社長だったら……。

 だとすれば、丁重にお断りしなくてはならない。

 彼にそんな大金を援助してもらう理由も義理もない。

 職場を後にして、真っ直ぐ向かったのは『HOTEL TACHIBANA』。

 クリスマスイブの日に来た以来だ。

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