契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
え……?
とんでもないフレーズが耳に飛び込んできて、瞬きを忘れる。
固まってしまった私を、橘社長はクスっと笑った。
「それならすべて解決だ。妻となるなら、俺がお母様の治療費の面倒をみるのはおかしなことでない。あと、君がずっと気にしているドレスの件も」
「ちょっと待ってください! 意味が──」
「望まない結婚を急かれて困っているんだ」
橘社長は再び私の声を遮り、どきりとするようなことを口にする。
それは、私のような庶民にはわからない世界の話に違いない。
望まない結婚──跡取りとして、お相手は好きでもない親の決めた相手とさせられるのだろう。
「君は俺の妻となる。俺は、君のお母様の件やすべての金銭的面倒をみる。お互いにウィンウィン。悪い話ではないはずだ」
「ウィンウィンて……」
「オペが受けられるとなって、お母様は喜んでいたと聞いた。それをここで断ったら、あまりにも不憫だと思うが」