契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「お休みのところ、申し訳ありません」
橘社長を見た母の表情が一瞬固まる。次の瞬間にはまた目を大きくして驚いたように瞬きを繰り返した。
「いえいえ、こちらこそ、こんな姿で失礼します」
スーツの男性が入ってきたことで、母は何かを察したようだ。
少し倒していた体を起こしてベッドに掛ける。
そのすぐそばまで橘社長とふたり歩み寄った。
「こちら、橘さん」
私が紹介すると、母は頭を下げ、「澪花の母です」と挨拶を返す。
橘社長の方も母に向かって再度頭を下げた。
「初めまして、橘蓮斗と申します。澪花さんと、結婚を前提にお付き合いをさせていただいております」
「へっ……! み、澪花とですか⁉」
母は両手で口を押え、大きくした目で橘社長と私を交互に見る。
相当驚いているのだろう、心臓に負担をかけないか今更心配になる。
「はい。お母様にも一度ご挨拶させていただきたかったので、お会いできまして光栄です」