契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


「橘さん……。あの、失礼ですが……橘さんて、まさか……?」


 母に尋ねられ、橘社長は以前私に渡した時と同じように名刺を取り出す。


「TACHIBANA GROUPの代表を務めております」


 驚いた母が「ひっ」と息を呑んだのがわかる。

 私も、あのTACHIBANAの代表取締役社長だと知った時は声が出なかった。


「あ、あんな大企業のご子息が、うちの娘となんて……」


 母の反応は至って普通だしまともだ。

 純粋な〝普通の結婚〟であれば、身分の差に困惑する。


「私の、一目惚れなんです。澪花さんは、女性らしさの中に芯の通った強さのある方だ」

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