契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
それはどういうことだろう?
車はちょうど、事前に教えていた私の自宅前に到着する。
「仕事はいつ休みだ」
「週末です。今週は土日」
「そうか。それなら、土曜日時間をもらえるか」
今週末は特に予定もない。
「はい、わかりました」
私の返事に橘社長は「決まりだな」と言って運転席を降りていく。助手席側に回り、わざわざドアを開けてくれた。
「すみません、ありがとうございます」
あんな大会社の社長という肩書の方に、車のドアを開けてもらうなんて恐れ多く慌てて降車する。
「お忙しいところ、わざわざ送り届けていただきありがとうございました」
「じゃ、土曜日迎えにくる。時間は、また改めて連絡する」
「わかりました」
橘社長は再び運転席に乗り込み、私が立つ助手席側のパワーウィンドウを開ける。
「楽しみにしてる」
端整な顔にほんのりと笑みを浮かべ、緩やかに車を発車させた。