契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「どういうものが好みだ?」
そう訊かれても、すぐ近くに迫る綺麗な顔と腰に回った手に緊張してなにも考えられない。この状況から逃れるためになんとか口を開いた。
「橘社長の、お好きなもので構わないです」
「俺の好みのものを着てくれるのか」
橘社長は、そばについているショップスタッフに、手に取ったドレスを渡していく。「試着を」と頼み、私はそのままフィッティングルームへと連れて行かれる。
「今日の気分のものを選ぶといい」
「はい……」
フィッティングルームに入りひとりになって、気持ちを落ち着かせるように小さく息をついた。
手渡されたドレスは全部で五着。私にとってみれば特別なパーティーなどで着るような部類のドレスだけど、橘社長のような上流階級の人たちにとったら普段着のようなものなのかもしれない。
どれも素敵なドレスで迷ったけれど、あまり橘社長を待たせてはいけないと思い着替えるドレスを決める。
ブラウンカラーのレーススリーブワンピースが落ち着いた雰囲気で素敵だなと思い、急いで着替えに取りかかった。