契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「趣味か……いろいろあるな。身近なところで読書。本は好きか?」
「本、はい。読むのは遅いですけど、なんかしら読んでます」
「そうか。あとは、体作りは趣味みたいなものになってる。登山も好きなんだ」
「登山ですか。どんな山を登るんですか?」
「去年は、カナダに仕事で行った時に時間を取ってカナディアンロッキーに登ったな」
想定外の海外の山の名前が出てきて驚く。趣味というから、国内のその辺の山でも登るのかと思っていたけれど、まったくスケールが違った。
「すごい、本格的……」
「山は登らないか」
「登らないです。小学校の時に登ったのが最後かと……」
「好きでもないと登らないもんだよな。あ、あと最近は時間が取れなくてご無沙汰だけど、乗馬も十代からやっていて趣味みたいな感じだ」
そう話す橘社長の視線の先には、遠くに歩く白馬を捉えている。
「乗馬……」
訊いておいてこんなことを思うのは変だけど、趣味のスケールが違いすぎて話が広がらない。
「馬は苦手か?」
「……えっ、あ、いえ。苦手じゃないです。乗馬なんて、かっこいいなって思っただけで」
「苦手じゃないなら」
「へっ」