契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
突然手を取られ、くいっと引っ張られる。
一体どうしたのだろうと驚きながら手を引かれていくと、橘社長が向かっていく先はどうやら遠くから眺めていたあの白馬。だんだんとその距離が近づいていく。
「あ、あの……?」
近づいてきた白馬は毛並みにしっかり艶があり、尻尾はさらさらと揺れている。
「ちょっと待ってて」
橘社長は馬のそばに一緒にいたスタッフに声をかけにいく。
なにか話をしたかと思えば戻ってきて、馬の頸を撫でた。そして、驚いたことに身軽に馬の上に乗ってしまう。
「えっ、すごい……!」
どうやって騎乗したかもよくわからないほど慣れていて、呆然とその姿を見上げる。
すると手招きされ、近づいてみると橘社長はまた身軽に馬から降りてきた。
「力を抜いて、俺に身を任せて」
「え?」
どういう意味なのか訊き返す前には、足が地面から浮いていた。
あっと思った次の瞬間には、抱きかかえられた体が馬の背の上に腰を下ろす。
橘社長がまたがる前に横座りで乗馬する形で座っていた。
「わっ、うそ」
「じっとしてれば大丈夫」