契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
デザートは、マカロンを温かい紅茶と一緒に美味しくいただいた。
フランボワーズのソースと散りばめられたベリーの甘酸っぱさがマカロンをいい感じに引き立てていた。果実はこのオーベルジュ内で栽培されたものだと説明があり、より一層絶品に感じられた。
それから、十七時近くには橘社長の車に再び乗り込み、オーベルジュを出発した。
「橘社長、今日は一日ありがとうございました」
オーベルジュからうちまでは車で十分ほど。徐々に西日も落ちてきた空は暗くなってきている。
「こちらこそ。今日は一緒に過ごせてよかった。お互いのことも話せたし、君のことをたくさん知ることができた」
今日食事をしながら話をして、お互いの基本情報は知ることができたと思う。
年齢は私の五個上の三十二歳だったこと。
小学校からベリが丘にある有名私立校に進学し、大学までエスカレーター式に進級したと聞いた。大学時代は海外留学をしていた時期もあったらしい。
生い立ちやちょっとしたエピソードなどを聞いていても、やっぱり生きてきた世界が違うのだと何度も感じた。
きっと、橘社長の方も私の話を聞いて同じことを思ったのだろう。
「でも、ひとつ言いたいことがある」
「はい」
言いたいこと……?
運転する橘社長の横顔に目を向ける。真っ直ぐ前を向いたまま特に笑みを浮かべてもいない綺麗な顔に緊張を覚えた。