契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
「その、〝橘社長〟というのは今日で終わりにしてもらいたい」
「あ……」
特に意識しないでそう呼んでいた。でも、これからの関係を考えたら確かにその呼び方はおかしい。人が聞いてもよくないだろう。
「そうですね。では……」
「名前で」
「蓮斗さん、ですね」
初めて口にした名前は予想以上に鼓動を高鳴らせる。
暗くなり始めた車内で、蓮斗さんの横顔にほんのり笑みが浮かんだのを見た。
「慣れるまで、無意識に間違えたりしてしまいそうですけど、早く慣れるようにします」
急に呼び方を変えるとなると、しばらくは意識しないといけない。
心の中で何度か『蓮斗さん、蓮斗さん』と呼んでみた。
車は見慣れたご近所の道を走り出す。
蓮斗さんは間違えることなく私の実家の前に車を停車させた。