契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
4、動き始めた感情
一月の最終週。
今日は母のオペが行われる。
日程が決まってから職場には事前に有休を取り、朝から母の入院する病院を訪れている。
姉も私同様事前に休みを取っていたけれど、今朝出勤に病欠が出てしまい、急遽お店に出なくてはならなくなってしまった。
仕事が終了次第、病院に駆け付けるといって朝出かけていった。
ベリが丘の心臓血管外科に転院してから母の主治医になってくれたのは、若くして名医と言われる心臓血管外科のスペシャリスト。
数年前までアメリカの外科チームに所属していたらしく、腕は間違いないと蓮斗さんが言っていた。
主治医と蓮斗さんは学生時代の友人らしく、幼なじみという間柄だという。だから母のことも口利きしてくれたのだろう。
午前九時半から始まったオペは、もうすぐ三時間になる。スムーズに進めばそろそろ終わるはずだと聞かされているから、時間の経過と共に落ち着かない気持ちになってくる。
「澪花」
オペ室近くでひとり待機していたところ、後方から声がかかる。
振り返ると、そこにはこっちに向かってくる蓮斗さんの姿が。たった今、ここに到着した様子だ。