契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
術後の状態も安定していると説明を受け、今日は一旦帰宅することになった。
また明日になれば面会も可能だというから、仕事後に訪れようと思う。
途中から病院に駆けつけてくれた蓮斗さんと一緒に帰ることになり、院内の駐車場へと向かう。
「この後のスケジュールは?」
「この後は特には」
「それなら、さっき話した通り、一緒に来てもらいたいところがある」
「わかりました」
病院を出た蓮斗さんは、駅方面に向かって車を走らせていく。
どこに向かっているんだろうと思っているうち、駅前のマンション敷地内に入っていく。車は建物の地下に吸い込まれていき、地下一階部分の入り口で自動でバーが上がった。
「あの、ここには……?」
「一緒に住む新居を用意した」
「えっ、し、新居、ですか?」
まさかとは思ったけれど、そのまさか。
でも、ここはその辺りにある普通のマンションではない。
ここ、ベリが丘では知る人ぞ知る高級低層マンション。住んでいるのは富裕層の中でも更にごく一部の富豪だと噂が立つようなマンションだ。
有名一級建築士によるデザイナーズマンションは、都会的でありながら緑豊かな別荘地を思わせる造りで外観からもセンスの良さが際立つ。誰もが羨望の眼差しで見上げるマンションだ。
そんなマンションがこれから住む場所になるの……⁉
車はすでに決められていると思われる駐車場へと入れられる。周囲の車は予想通り高級車ばかりだ。
地下駐車場に、車のドアを閉める音が鳴り響く。
蓮斗さんは「おいで」と私に手を差し出した。