契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
澪花にとって、父親が他所に女性をつくり出ていったこと、体の弱い母が苦労することになったのは男性不審の始まりだったと察する。
そんな思いを抱えながら出会い初めて付き合った男が、やはり父親のような男であればもう男性を信じることなんて難しくなるのは当たり前のことだ。
もっと、早く出会っていれば……。戻らない時間を恨んだ。
しかし、過去を嘆いてもなにも変わらない。過去は変えられないから、これからの未来を約束するまでのこと。
そんな濁り腐った過去は、全部塗り替える。
幸せで、不幸な記憶は思い出せないくらいに。あれはすべて、悪夢だったのではないかと思い込むくらいに。
たとえ契約結婚という関係でも、必ず、彼女が心から笑えるように傍で見守りたい。ただそれだけを考えていた。