契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】
5、誕生日サプライズ
年が明けたと思えば、あっという間に一カ月が過ぎた。
この一カ月、自分の人生には起こり得ないことが次々と起こって、怒涛の一カ月間だった。
そうこうしているうちに二月に突入。
二月二日、今日は私の二十八回目の誕生日だ。
誕生日といっても、今日もなんら変わりのない一日を送っている。朝から会社に出社し、いつも通り仕事をこなしている。
二日ほど前、いよいよ新居への引越しの準備が整ったと蓮斗さんから連絡をもらった。
そんな話から、今日の仕事後に会えないかと都合を伺われた。
今日はいよいよ、あのマンションへの引越しに向けて動きがあるのだろう。
まだ荷造りは済んでいないけれど、どうしても持っていきたい家具などなければ身の回りのものだけで構わないと言われている。
そこまで運び出すものもないから、引越しはそこまで大がかりにはならないはずだ。
定時まで仕事をこなし、終業後にチェックしたスマートフォンには蓮斗さんから【いつもの場所にいる】というメッセージが入っていた。
仕事後に迎えに来てくれたことは数回あるけれど、いつもタワー前に停車している。
今日も同じ場所だろうと思いながら急いでオフィス棟のエントランスを出ていくと、予想通りいつもと同じ場所に蓮斗さんの車がハザードランプを焚いて停車していた。
「寒い……」
ビル風が吹きつけて、ストールに顔を埋める。
車へと近づくと私に気づいた蓮斗さんが運転席から降りてきた。