蝶と柊 ~冷たくて甘い君~
_ガサッ
えっ?
目と鼻の先のソファから物音が聴こえ、その方を見ると人影を視認した。
ここは私の家であって、1人のはずだというのに。
知らない人がいる。
「は...?」
あまりに常識から逸脱したこの状況に、脳の処理と理解が全く追いついていない。
少し身構えてしまう。
あたかも我が家かのようにソファに寝転んでいる男は、両手を頭の後ろに組んで続ける。
「目、覚めたんだな。よかった」
「誰」
1人で居たい。
何が起こったのかよくわかっていない今は、尚更そう思うのに。
この空間を乱すあなたは本当に誰なの。
「ああ、そっか。名乗ってなかったな。俺は柊 零斗(ひいらぎ れいと)ってんだ。いきなり家に転がり込んじまって悪かった」
「はあ」
あまりにも淡々と喋る柊さんに、私は唖然としながら相槌を打つ。
そして、私は問う。
「...なんで」
「え?」
「...なんで、こんなところにいるんですか」
「...は?」
「えっ?」