蝶と柊 ~冷たくて甘い君~
「ごめんなさい、私何があったのか覚えてなくて」
「なんでって、そりゃ_」
ソファから柊さんが起き上がって立ち上がり、ここにいる理由を話そうとした時。
私の視界に、カーテンの隙間から僅かに漏れた光に照らされた銀色の髪が目に入る。
「......っ!!」
反射的に数歩後ずさる。
「そんな怖がんなって。悪かったと思ってる」
遠のいた距離を埋めようとゆっくり近づいてくる彼が怖くて、
「...来ないでっ!!」
そう叫ぶ。
すると、彼はなぜか苦笑いで。
「せっかくメシアになってあげたってのに。その言い方は酷くねえか?」
「えっ」
メシア?
メシアに、なってあげた…?
うーんと、メシアって、確か救世主って意味だった気がする。
...ってことは、柊さんが私を助けてくれたの?
どっかの誰かはこの人なの?
でも、この人の髪は紛うことなき銀髪な訳で。