蝶と柊 ~冷たくて甘い君~
「そういえば、凪沙は…?」
私は大丈夫だったとしても凪沙が心配で、柊さんに問う。
「お前の連れは俺の連れに任せてあるから安心していい」
「そ、そっか、よかった...」
安堵の息を漏らす。凪沙が無事ならそれでいい。
凪沙は、唯一の親友を唯一私が心を許せる存在だ。
彼女を失ったら、私は_
首突っ込んだからには最後まで責任取っとくか、と思って目が覚めるまでは家にいようと思った、と話す彼。
それに、なるほど、ありがとうと私は返す。
さっきは不審者、なんなら私と凪沙を攫った奴かと思って拒絶してしまったが、とてもいい人だったようで安心した。
……とでもいうような表情を作ってみせる私。
バレてない、大丈夫。そう思った。
_矢先、
「お前さ、俺が怖くねえの」
急にそんなことを問われ、見透かされたような気分になってはっと彼の方を見る。
そこには、差し込む光を見つめながらどこか切なげな表情を浮かべる柊さんがいて。
_美しい
状況には全くそぐわないけどそう思った。