ケーキだけかと思ったら…私まで中条くんに溺愛されました
 次の日の朝。

 私は教室に入ると、一番廊下側の真ん中辺りの席に座っている中条くんに、そっと声をかける。「作ってきたよ、後であの場所で渡すね」って。そして窓側の、自分の席に向かっていった。

 休み時間になると、中条くんはこっちを見て、目で合図をしてきた。教室から出ていったから私もついていく。

 他の誰にも知られずに、ふたりだけの空間へ。

この一連の流れが、ちょっとだけふたりの関係が特別なものだと感じる。

 秘密の場所に入ると、私はすぐに透明な袋に入っているクッキーを胸ポケットから出した。

 袋を渡すと、中のクッキーをひとつ出して、口にほおばる中条くん。

「クッキーって、こんな味がするんだ。美味しい――」

 今日も、私が作ったお菓子を食べて、微笑んでくれる中条くん。

 中条くんは、作ってよかったなって心から思えるような反応をしてくれる。

 そして、毎日食べているはずなのに、クッキーも初めて食べたかのような反応をした。その原因が少し気になるかも……。

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