ケーキだけかと思ったら…私まで中条くんに溺愛されました
 そうだよね――。

 中条くんが「私のだけ美味しい」って言ってくれて、そんなふうに接してくれるのって、レシピ通りに作ったお菓子のおかげなんだよね? 

だから他の人が作ってもどうせ「美味しい」って言って、キラキラしちゃうんだろうなって想像したら、ヤキモチなのか分からないけれど嫌な気持ちが込み上げてきて、悲しくなっちゃった。

「泣くなよ、ごめん」とお兄ちゃんはあせる。

「泣かないよ。それに、お兄ちゃんは悪くないよ。だって、お兄ちゃんが言うこと、合ってる気がするもん。とりあえず、お兄ちゃんのそれも焼いて、中条くんに渡すよ」

 私は星の型を使い、お兄ちゃんは丸い型を使って、それぞれクッキーを完成させた。

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