ケーキだけかと思ったら…私まで中条くんに溺愛されました
 リビングに戻ると、中条くんはうとうと眠たそうにしていた。

「中条くん、お待たせ。お菓子全部出来たよ!」

 声を掛けると中条くんはびくっと肩をふるわせて、目をぱっちりさせた。

「中条くん、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」

 中条くんの体調を気にしながら、透明なテーブルの上にイチゴショートケーキと、お持ち帰り用のクッキーの、袋に入りきらなかった分をお皿に乗せて並べた。

 まずはケーキを食べる中条くん。

 相変わらず「美味しい」ってたくさん言ってくれて、あっという間に食べ終える。さっきまで眠たそうな雰囲気だったけれど、目が完全に覚めたようすの中条くん。

 私はキラキラしながら食べている中条くんを、笑顔で見守る。

 続けてクッキーも食べようとしている。中条くんは、お兄ちゃんが作った、丸い方のクッキーを手にした。食べた時に中条くんは、なんて言うのだろうって考えると、心臓がドクドクしてきた。

 お兄ちゃんが作ったのを食べても「美味しい」って言わないでほしいなって気持ちが、大きい。

 きっと私は、甘いお菓子をキラキラしながら、美味しいって食べる中条くんをひとりじめしたいのかな?

私が作った甘いお菓子にだけ「美味しい」って言ってほしい。

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