ケーキだけかと思ったら…私まで中条くんに溺愛されました

4*中条くんのもうひとつの秘密

 もやもやした気持ちのまま春休みが終わって、私たちは中学三年生になった。

 中条くんとは、別のクラスに……。

 中条くんがお兄ちゃんの作ったクッキーに対しても「美味しい」って言った時から、私だけが〝中条くんと私は特別な関係なのかも〟って気持ちを抱いていたことが、むなしくなっていった。

 本当に私の作ったお菓子だけを美味しいと感じてくれて、もしかしたら私にだけ特別な感情を持ってくれているのかもって思って、うぬぼれていて……。

 変な自信を持っていたことが、突然はずかしくなる。中条くんに甘いお菓子を作るのも、隣にいるのも、そして秘密を共有するのも……別にきっと、私じゃなくてもいいんだ。

 その日から私は、ふたりの秘密の場所にもいかなくなったし、中条くんをさけるようになった。廊下ですれ違う時に目が合ったのに、ぷいって私から目をそらしちゃって。ケンカしたわけじゃないのに――。

 悲しい気持ちにさせちゃったかな?
 それとも、なにも感じなかった?

 目をそらした後の中条くんは、どんな表情をしていたんだろう。
 自分からしたくせに、心がチクチクとして痛い――。

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