ケーキだけかと思ったら…私まで中条くんに溺愛されました
 クッキーをゆっくり食べる中条くん。

「ありがとう、本当に美味しいよ……僕はもう、桜さんの甘くて美味しいお菓子がないと……生きていけない」

 突然しゅんとする、中条くん。

「生きていけないって、おおげさだよ。だって、他の人が作ったお菓子も私が作ったお菓子も、レシピが一緒だったら同じ味だし」

「いや、すごく違うんだよ」

 中条くんは強い口調で私の言葉を否定した。

「違わないよ。だって、春休みの時に中条くんが食べたクッキーだって……」

「あ、そうだ。そのことで、桜さんにずっと聞きたいことあったんだ」
「私に?」

 なんだろう――。

「春休みにくれたクッキー、桜さんじゃない人が作ったのも混ざってなかった? 丸い方のやつ」
「えっ? なんで分かったの?」

 中条くんは、私が作ってないクッキーを的確に当てた。

「やっぱりそっか……」
「うん、丸い方はお兄ちゃんが作ったの。でもなんで分かったの?」

「実は……」

 中条くんは声が急に低くなった。 
 そして視線を床にやった。

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