ケーキだけかと思ったら…私まで中条くんに溺愛されました

「僕は、生まれた時から甘味を感じない体質なんだ……」

――甘味を、感じない？　

「でも、中条くんは私が作ったケーキも他のお菓子も……全部美味しいって言ってくれてたよね？　ほぼ甘味で出来ているから、甘いのを感じないと、美味しく感じないような、気がする……あれはウソだったってこと？」

「ううん、ウソじゃない。桜さんの作ったお菓子は、全部が甘くて、本当に美味しくて――」

「どういうこと？」

「なぜか桜さんの作るお菓子だけが、甘味を感じるんだ」

　私が作ったお菓子だけ――？

　だから中条くん、お兄ちゃんが作ったクッキーは、私が作ったクッキーじゃないって、分かったんだ……。

「じゃあ、なんでお兄ちゃんが作った丸いクッキーを食べた時にも、美味しいって言ったの？」

「……味がしないって正直に言ったら、桜さんを傷つけてしまうかもしれないって思って。だってあの時は、桜さんが作ったのかな？　味がしないのは気のせいかな？って思っていたから。」

「……そうだったんだ」

「お持ち帰り用にくれたクッキーを家で食べてる時に、丸い方は全部甘いのを感じなかったから、アレ？って思ったの」


　本当に、私が作ったお菓子以外には甘さを感じないんだ――。