ケーキだけかと思ったら…私まで中条くんに溺愛されました
「叔母さん、そんな真剣に私を見て、どうしたの?」

 叔母さんが私の目をじっと見てくる。

「小桃、あなた、今年ハッピーだわ。毎年占ってるけれど、こんなにでかいハッピーは初めて。得意なことでそのハッピーを捕まえて逃がさないように。そしてラッキーカラーは……白色ね」

 でかいハッピー?
 何かいいことがあるのかな?

 なんだろう。内容が気になってきて、ソワソワした気持ちになってくる。

 ラッキーカラーは白色って、今言われたよね。

なんとなく中条くんが着ている白いコートに視線がいく。しばらく見たあと、叔母さんの方を向くと、叔母さんも中条くんをまじまじと見ていた。

 中条くんは黙々とケーキを食べ続けている。食べ終わると箱に入ったままの、もうひとつのケーキを見つめていた。

「中条くん、食べたいの?」
「うん」

「でも、これは叔母さんの分だし……」

 ちらっと叔母さんを見つめると「いいよ、ケーキいっぱい食べて体力つけな?」と元気に言った。

「じゃあ、あげる! 食べていいよ」

 作ったケーキをこんなふうに食べてくれるのは、うれしいし。叔母さんにはまた近い日に作ろうかな。

「ありがとう」

 中条くんは微笑んだ。

「そんなにケーキが好きなんだね」
「ケーキが好きっていうか、甘いお菓子をこまめに食べないと、眠くなって倒れる体質なんだ僕……」

 甘いお菓子を食べないと倒れる?

 そうだったんだ――。

 中条くんが、そんな体質だったことを初めて知った。同じクラスなのに、全く知らなかった。

「何時間食べないと倒れるとか、あるの? 学園では大丈夫なの?」

 気になりすぎて、前のめりになりながら質問した。ぐいぐいこられたからなのか、中条くんは私から少し離れる。

「学校では、ポケットにそっとクッキー入れといて、誰にもバレないように教室から出て、こっそり食べてるよ」

 もちろん私は、中条くんが学園でクッキーを食べている姿を見たことがない。


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