ケーキだけかと思ったら…私まで中条くんに溺愛されました
「誰にもバレないようにって、秘密なの?」
「うん。一応学園では、先生は知ってるけど、他の人たちはそのことを知らない」

 中条くんのお皿に、ふたつめのケーキを乗せる。

中条くんは「美味しい」って言いながら、きらきらした表情で、再びケーキを食べた。すぐにお皿の上のケーキはなくなった。

 中条くんの顔色も、よくなってきたかな?

 私は安心した気持ちになる。

「中条くんも占ってもらう? 叔母さんね〝スゴ腕占い魔女の生まれ変わり〟って周りに言われるほど、占いが当たるんだよ!」

「いや、僕は占いとか全く興味がないから……」

 中条くんは立ち上がった。

「帰るの?」
「うん、帰る。ケーキ、ありがとうね」

 ふっと微笑み、中条くんは帰っていった。

「あの子、他にも重大な秘密を持っているわ」

 叔母さんはしかめつらしながら、ドアの方を見つめていた。
 重大な秘密ってなんだろう。すごく気になるけれど――。

 さっきの、ケーキを食べていた時の中条くんの顔が頭に浮かんできた。
 
 私が作ったケーキをほめてくれて、うれしかったな。すごくきらきらした表情で食べてくれて、見ていると私も幸せな気持ちになれた。

 中条くんのためにまた作りたいな――。

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