ケーキだけかと思ったら…私まで中条くんに溺愛されました

2*ふたりだけの場所

 教室では、気がつけばいつも中条くんに視線がいくようになった。

 体調大丈夫かな? 
 どのタイミングで甘いものを食べているんだろうって、気になりすぎて。

 本人に気づかれないように、そっと見ていた。

 大体二時間ごとの休み時間に教室から出ていく中条くん。気になって、こっそりついていく。

 ふわふわ歩く中条くん。
 曲がり角のところで、姿が消えた。

 今の一瞬で消えるとか、ある?
 でも中条くんなら、そんな魔法を使えても不思議ではない雰囲気をまとっている。

 もしかして、ついていったのがバレて隠れたのかな? 

 廊下を一周してみようかな?  
 それとも教室に戻ろうかな?

 考えながらとりあえず、中条くんが消えた曲がり角の、さらに先に進んでみることにした。

 前に少しだけ進んだ時に「やっぱり桜さんだったんだね」って、突然、背後から声がした。

「わっ! びっくりした」

 振り向くと、物置になっている教室からひょいと顔だけ出して、こっちを覗いている中条くんが!

――中条くんは、魔法を使ってはいなかった。

「あの、大丈夫かな?って思って」

 ついてきたの、嫌がられていないかな?
 考えてみたら、学園の中で尾行とかされたら、嫌だよね……。

「とりあえず、中に来て?」と手招きされる。私が中に入ると、中条くんは教室の辺りに誰もいないのを確認して、ドアを閉めた。

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