こわがりちゃんとサイキョーくん!①
「今日から、この学校に転校してきました。
山本(やまもと)サモンといいます。
好きな女の子は花りんです。
皆さん、よろしくお願いします」
突如として、奇々怪々な自己紹介を終えた転校生。
「今のは空耳?」と、クラスの皆が目を白黒させるなか。
「はへ?」
当の本人「花りん」ことわたしも、寝耳に水の話で。おどろく群衆の一人と化していた。
キラキラスマイルが眩しい、猫ッ毛な茶髪の転校生を、口をあんぐり開けたまま見つめる。
だけど、どこからどう見ても初対面。
だって、あんなイケメンを見たら最後、わたしが忘れるはずないもん!
青く赤く顔をぬり変える私のそばで。
もう一人、リアクションをした人物がいた。
「……は?」
王子様キャラを忘れて、思わず素の魔王サマが出てしまった千景くん。
私しか知らないどす黒い声を、教室の端から端までとどろかせた。
【こわがりちゃんとサイキョーくん!①】END