こわがりちゃんとサイキョーくん!①
「ちげーよ!〝悪い気〟が混じってるって話だ!」
「あぁ! そう言えば、そんな話もあったね!」
ポンッと手を叩くと、ネコ千景くんは周辺をキョロキョロした。
そして、まるで臭いモノをにおったみたいに、グニャリと顔を曲げる。
「悪い気が、学校にベットリまとわりついてる。
そのせいで俺も人間に戻れないんだと思う。
だから、この気の元を取りのぞくぞ!」
「えぇ!?」
一難去って、また一難。
「今から行くの!?」と尻込みするわたしの手に、千景くんは無言で爪をたてる。
ギギギ……
「俺の事を、心配してくれるんだよなぁ?」
「い、いたたた! わかった、行きます!
妖怪を見つけに、行きますってば~!」
◇
「あークソ、全然いねぇな」
悪い気の元の妖怪を探して、しばらく経つ。
だけど、妖怪の姿は見当たらない。
「アイツが大きい声で、“悪い気を取り除く”と言うからです。妖怪に逃げられたんですよ。
はー、主に手を焼かせるなんて。なんたる不敬!」
「おい、聞こえてんぞ。
今はネコの姿だけどな、俺は人間。
しかも、妖怪であるお前を祓えるんだからな」