こわがりちゃんとサイキョーくん!①

「あの、千景くん!?」
「お前だけは、こっから逃げとけ」
「へ?」

 いきなり何?
 しかも……逃げる?
 わたし「だけ」が逃げる!?

「なんで!?」
「今から出てくる相手は、情も情けも、何も通じない奴だ。
 それくらい“ヤベー妖怪”ってこった」
「そ、そんなに……っ」

 ゴクリと喉を鳴らしたわたしを見て、千景くんは続ける。

「ヤベー妖怪に、お前の【浄化】は通じない。
 だからバレない所に隠れとけ。
 俺が守ってやる」
「え……」

 ドキッ

 胸が音を立てる。
 これは何……?

 するとネコ千景くんがオニよりもこわい顔で、わたしを睨んだ。

 さすが魔王!
 いい雰囲気が台なしだよ!

「とっとと隠れる!」
「は、はいー!」

 でも「隠れろ」って言ったって、ここは校舎裏。
 逃げるも隠れるも、どこへ行ったら……。

 そんな中、わたしは手ごろな場所を見つける。
 それは――

「ひまわりが咲く、花だんの中!」
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