優しい鳥籠〜元生徒の検察官は再会した教師を独占したい〜
恐る恐るメッセージを開くと、つぐみと翼久が手を繋いで歩いている写真に、『昨日と同じ服。浮気者』という文章が添えられていた。
昌也がこの近くにいるの? そう考えるだけでぞっとする。というか、昨日は追いかけて来なかったくせに、今になって調子が良過ぎる。
「つぐみさん?」
翼久の声でハッと我に返った。その様子の変化に気付いた翼久は、パッとつぐみのスマホを取り上げる。そして昌也からのメッセージを読んで、真顔で目を細めた。
「もしかして、昨日別れた元カレ?」
「うん……見られてたみたい。早めに荷物をまとめちゃうからーー」
そう言いかけたつぐみの目に、階段を上ってきたらしい昌也の姿が目に入る。昌也はつぐみを見てから、翼久を睨みつけた。
「なんでここにいるの?」
「なんでって、つぐみが別れるとかいうからだろ。でもわかったよ、そっか、浮気してたんだな」
「してない! 昨日の約束をすっぽかしたのはそっちでしょ! 言いがかりはやめてよ」
「じゃあその男はなんだよ! 浮気してないなら別れる必要だってないだろ⁈」
この人は自分が悪いことをしたとは思っていないんだーー今までこんなに傷付いてきたのに、彼はそのことに気づいていない。
私がちゃんと伝えなかったのがいけないのだろうか……。まるで冬場のツグミじゃない。言っても意味がない、彼を不愉快にさせるくらいなら黙っていようと思ったのがいけなかったんだーーつぐみはため息をついた。
「なんで今頃追いかけてきたの? 昨日追いかければよかったじゃない」
「昨日は用事があって……」
「どうせゲームでしょ? 昨日も言ったけど、私の優先順位が低い人と一緒にいても、幸せにはなれない」
すると昌也はつぐみの肩を引っ張ると、彼女の両腕を掴んで自分の方に向かせる。
「だから同棲すればずっと一緒にーー」
「やめてよ。あなたのお世話ばかりの鳥籠にはいたくない。もう解放して……自由にさせてよ」
私は"ツグミ"じゃない。"つぐみ"なの。
昌也がこの近くにいるの? そう考えるだけでぞっとする。というか、昨日は追いかけて来なかったくせに、今になって調子が良過ぎる。
「つぐみさん?」
翼久の声でハッと我に返った。その様子の変化に気付いた翼久は、パッとつぐみのスマホを取り上げる。そして昌也からのメッセージを読んで、真顔で目を細めた。
「もしかして、昨日別れた元カレ?」
「うん……見られてたみたい。早めに荷物をまとめちゃうからーー」
そう言いかけたつぐみの目に、階段を上ってきたらしい昌也の姿が目に入る。昌也はつぐみを見てから、翼久を睨みつけた。
「なんでここにいるの?」
「なんでって、つぐみが別れるとかいうからだろ。でもわかったよ、そっか、浮気してたんだな」
「してない! 昨日の約束をすっぽかしたのはそっちでしょ! 言いがかりはやめてよ」
「じゃあその男はなんだよ! 浮気してないなら別れる必要だってないだろ⁈」
この人は自分が悪いことをしたとは思っていないんだーー今までこんなに傷付いてきたのに、彼はそのことに気づいていない。
私がちゃんと伝えなかったのがいけないのだろうか……。まるで冬場のツグミじゃない。言っても意味がない、彼を不愉快にさせるくらいなら黙っていようと思ったのがいけなかったんだーーつぐみはため息をついた。
「なんで今頃追いかけてきたの? 昨日追いかければよかったじゃない」
「昨日は用事があって……」
「どうせゲームでしょ? 昨日も言ったけど、私の優先順位が低い人と一緒にいても、幸せにはなれない」
すると昌也はつぐみの肩を引っ張ると、彼女の両腕を掴んで自分の方に向かせる。
「だから同棲すればずっと一緒にーー」
「やめてよ。あなたのお世話ばかりの鳥籠にはいたくない。もう解放して……自由にさせてよ」
私は"ツグミ"じゃない。"つぐみ"なの。