お姫様が拾われると溺愛が始まるらしい
青柳くんの方を向いて目を合わせた。


「そうだったんだ。私も女なのに……青柳くん。教えてくれてありがとう」


そう言って笑った時、丁度花火が舞った。


辺りが明るく照らされて、周りの人は空を見上げて声を上げている。


パラパラと火花が散って、その時に青柳くんは口を開いた。


「俺は"純恋"の事が好きだ」


花火の音で聞こえずらかったけど確実に聞こえた。


好きって……好き?


青柳くんが誰を?


「青柳くん……?」


耳まで真っ赤になっていて、今までに見た事がない表情をしている。


その表情が空耳ではないことを悟る。
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