お姫様が拾われると溺愛が始まるらしい

グイッと引き上げた時に、有馬さんが体を傾けさせて、青柳くんの胸に飛び込んでしまった。


宮野さんとその様子を見ていて、すごく胸が痛くなった。


有馬さんと青柳くんの距離がすごく近い。


ドキン、ドキンと胸が跳ねて、私は足が動かない。


「今日本当に大丈夫なの？体調は？」


「あ、うん……だ、大丈夫」


宮野さんに心配をかけているのが申し訳ない。


でもこんな雰囲気の2人の横を通って、私たちは歩くことは出来ない。


じっと2人を見ていると、有馬さんが青柳くんの背中に腕を回して、一言呟いた。


「私青柳くんが好き」


「っ……！！」


その言葉を聞いた瞬間、私はいたたまれない気持ちになって、思いっきり2人の方へ駆け出してしまった。


そのまま通り過ぎて、脅かそうとしてきた人も全て無視。