お姫様が拾われると溺愛が始まるらしい
「ねぇ、彰何話すの?」


ピタリと立ち止まって私の方を振り向いた。


切なそうで、今にも泣きそうなその顔に私は胸がぎゅっと締め付けられた。


なんでそんな顔をするの?


私の腕を握る手が、それを物語っているような気がしてたまらない。


その時、風が大きく吹いて、風の音で彰の声がかき消された。


「……きだ」


「……彰、ごめん」


「え」


「もう1回聞かせて欲しい」


なんて言ったのか分からず、もう1回と人差し指を立ててお願いした。


すると彰が顔を右手で抑えて、耳まで真っ赤にした彰が一言呟いた。
< 195 / 230 >

この作品をシェア

pagetop