お姫様が拾われると溺愛が始まるらしい
しっかり返事をして、ちゃんと自分が思っていることを言わなくちゃ。


「あ、彰っ……」


「ん?」


「2人で話したい」


みんなに目配せをすると、宮野さんがすぐにわかってくれて親指をグッと立てた。


私も頷いて2人でみんなと反対の方向に並んで歩き始めた。


周りがザワザワする中、私と彰だけが静かで無言な空間な気がする。


どうやって話を切り出そうか……そう考えていた時、彰が私を見た。


彰の表情は、辛いとか苦しいとかの表情ではなく、ただただ優しくてギュッと自分の服を握った。


ちゃんと、言わないと彰にも、青柳くんにも、みんなにも失礼だ。
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