お姫様が拾われると溺愛が始まるらしい
その笑顔が何かを飛ばすようで、じわりと涙が滲んだ。


彰ってなんでこんなに優しいんだろう。


私が泣いてどうするの。


でも止まらない。


「っ……」


「泣くな。戻ろう」


何度も頷いて彰に着いていく。


さっきもこんな感じだった。


ごめんね、彰。


ありがとう……。


涙を手で拭きながらただそう、心の中で呟いた。





「いや〜、グライダートラップ楽しかったね!」


「楽しかったけど、寝転びながらのるアトラクション初めてだからちょっと新鮮で怖かった」


「俺はこういう系好き」


楠くんはどうやら遊園地が好きらしい。


私たちが戻ったあと、みんなが私をみて心配してくれた。

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