お姫様が拾われると溺愛が始まるらしい


私の教室は3階。


3階に上がるだけでゼェハァ、と息切れがする……。


しかも夏だから保健室とは違い蒸し暑い。


肌に服がまとわりついて気持ちが悪い感覚に襲われる。


そして私はいつも人と会う時は、分厚すぎて目が見えないレベルの伊達メガネと、マスクを着用している。


おまけに髪の毛も下ろしているから、熱気がすごい。


その暑さに耐えきれず、メガネとマスクを外した。


手すりを掴んで必死に3階へと上がっている時、丁度英語担当の楠本先生とすれ違った。


嫌な予感がする。


そしてその予感は的中。


「あれ、日生なんでここに居るんだ」


「えっと……昨日教室に忘れ物をしてしまったので取りに行くところです」


「おぉ、じゃあ丁度いい」


うげっ……。


丁度いいってまさか……。
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