この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
『珠子も、わずかながら我らと同質のフェロモンを発しておる。王子にはそれが作用しとるんじゃ……ぐっふっふっ』

 ネコ達は特異なフェロモンを発しており、匂いを嗅いだり接触したりした他の生物に多幸感をもたらすらしい。今まさにメロメロになっている軍服男性達がいい例だろう。
 おじさん達も、ネコ達に関わらない時は比較的キリッとしているのだ。
 フェロモンは、例えるなら……

(日干ししたお布団みたいな、いいにおい)

 もともとお日様の匂いというのは、脳内のα波の周期を一定のリズムに整え、リラックス効果をもたらすと言われている。
 つまり、ミケが私を吸いたがるのもその影響で、人間が猫に癒やしを求めるのと同じ感覚だろう。
 少なくとも、私を異性として求めているわけではないのは確かだが……

「問題が山積みで仕事が終わる気配がない……タマでも吸わないとやってられん」
「いやもう、本当にお疲れ様です。でも、猫を吸うならともかく、私を吸うのはちょっと……ミケの沽券に関わるといいますか……」
「そんなことくらいで私の立場が揺らぐものか。タマは余計なことを気にせず、黙って吸われていろ」
「ミケったら何様っ……あっ、そうでした。王子様で……国軍元帥様、でした」
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