この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
『おい、人間ども! 悠長にしとらんでさっさと珠子を追わんか! 我は長距離走は苦手なんじゃ! お前らの馬に乗せてけっ!』
「「「ミー! ミミー! ミミミー!!」」」
『ふむふむ、にゃるほど。把握。ヒバートっておっちゃんは、ハアハアしててキモいんだにゃ!』

 ネコは相変わらず、みぎゃーっ、みぎゃーっ、と筆舌に尽くし難い声を上げつつ、人間達の周りをぐるぐるしている。
 ミットー公爵の肩から下りたチートは、ヒバート男爵について子ネコ達から説明を受けていた。
 ロメリアはというと、自分がメルを追えるのなら、同行者がミケランゼロであろうとなかろうと気にしない。
 ただ、なかなか珠子を追いかけない大人達に焦れて走り出しそうになるトライアンの腕を、ガッチリ掴んでいた。
 そんなロメリアに、ミケランゼロが問う。

「メルは、どこへ向かっていると思う?」
「ベルンハルトに留まる気はないでしょう。おそらくは、ある程度の地理を把握しているラーガストにひとまず潜伏し、折を見て第三国を目指すのではないかと思われます」
「ならば、国境までたどり着く前に……最悪ラーガストに入られた場合でも、総督府の管轄内で捕らえたいな」
「十分可能かと存じます。あちらの馬は二人乗せておりますし、長距離移動を想定しているのならばメルも無理はさせないでしょう。それに、おタマは馬に乗ったことがないと申しておりましたから、今頃お尻が痛いとぴいぴい言っている頃かもしれませんわ」

 こんなことが起きなければ、今日は珠子を自分の馬に相乗りさせるつもりでいたミケランゼロは、ロメリアの言葉に少しだけ目を泳がせた。
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