この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
 それこそ、たわけたこと、である。
 私は、異世界生物を親に持った覚えなど微塵もない。
 それなのにネコは、私は世界と世界の狭間において生まれ変わったも同然で、今こうしてピンピンしていられるのも自分のおかげだと言って譲らず、日々お母さんムーブをかましてくるのだ。

『いいか、王子! よく聞け! お前がそうして珠子を愛でられるのは、我の尽力あってこそ! おネコ様を崇め奉り、末代までこの尊さを語り継げよっ!!』

 興奮したネコにより、眉間に猫パンチを食らった准将が、はわっ、と幸せそうな悲鳴を上げた。
 彼以外の将官達も、引き続き子ネコ達を相手に表情筋と語彙力を崩壊させている。

「「「「「「はー……ネコちゃん、ホントかわいいー……」」」」」」

 これが、ベルンハルト王国軍最高部の日常だとは、にわかには信じがたいだろう。
 そのトップたるミケはというと、にゃごにゃご言っているネコにかまわず、私の後頭部に顔を埋めて息を吸い始める。
 異世界転移も想定外の出来事だったが……

「人間に吸われる猫ちゃんの気持ちを味わう日が来るなんて、思ってもみなかった……」

 理解を超える状況に、私はスンとした宇宙猫の顔になった。
 そんな中、私の後頭部に顔を埋めたままミケが口を開く。
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