この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
 手を突いた場所に突如亀裂が走り、地面が割れる。
 バキバキバキッと音が聞こえ、私が座り込んでいた場所が後ろに傾いだ。
 崖が崩れていると気づいた時には、もう遅い。
 足場を無くして空中に放り出される瞬間、私はとっさに、ソマリをメルさんの方へ放り投げた。

『た、珠子姉様っ!?』

 ソマリの悲鳴と──

「タマ……くそっ!」
『ぎょえー! 珠子ぉおおおおお!!』

 ミケの舌打ちとネコの叫び声を聞きながら、私は真っ逆様に崖の下へと落ちていく。
 せっかくミケ達がレーヴェを追い払ってくれて助かったと思ったのに、再び絶体絶命に陥ってしまった。

(このまま一人、硬い地面に叩きつけられて死ぬの……?)

 私が、今度こそ絶望に呑まれそうになった時だ。

「──タマ!」

 ミケの声がすぐ近くで聞こえ、私は全身を包み込むようにして抱き締められた。
 さらに……

『ぬぉおおおおお! こりゃあ、いかん! さすがに死ぬぅううう!』

 ネコの声まで聞こえ、私は両目を見開く。
 一人で死ぬのだと思ったのに、どういうわけかミケとネコまで付いてきてしまった。

「だ、だめ! だめだめだめだめ! ミケもネコも、死なないでよ……っ!!」
 
 そう喚く私に空中で前足をひっかけたネコが、意を決した顔で叫ぶ。

『やむをえん! 三人まとめて死ぬよりマシじゃろ! 飛ぶぞ──別の世界へ!』
「えっ……」

 かくして私達は生きるため、ネコの摩訶不思議な能力に身を委ねることになった。
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