この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
26話 ようこそこちらの世界へ
カッ、と小気味良い音を立て、薪は見事に真っ二つになった。
ずっしりとした薪割り斧を力強く振って、ミケが次々に薪を割っていく。
私は適度な大きさになったそれを拾い集め、せっせと薪置き場に積み上げた。
ミケは、飾り気のないズボンとブーツに足を突っ込んでいるものの、上半身は裸だ。
私は、マキシ丈のストンとしたワンピースを身に着け、柔らかな布のミュールを履いていた。
ミケも私も、借り物を身に着けている。
というのも……
「私達って……結局、川に落ちたから助かったんですか?」
「正確には、着地点が川になったから助かった、だな」
崖から落ちて絶体絶命だった私達は、ネコの摩訶不思議な力により、地面ではなく水面に落下することで難を逃れた。
その際ずぶ濡れになった私とミケの服は日向に干しているが、そろそろ乾く頃だろうか。
「私は結局、落下の途中で気を失っちゃったみたいですけど……ミケとネコは、ずっと意識があったんですか?」
「さすがに私も、着水の直後は朦朧としたぞ。ネコは……あの時は、ピンピンしていたな」
ミケが、薪置き場の隅にいるネコにちらりと視線をやった。
今朝のネコは、別人……いや別ネコかと思うくらい静かな上、さっきから微動だにしない。
崖から落ちた後、私は四時間ほど気を失っていたらしい。
あれから一夜明け、時刻は現在午前六時を回ったあたり。
朝日が遠い山際から今まさに飛び立たんとしていた。
ずっしりとした薪割り斧を力強く振って、ミケが次々に薪を割っていく。
私は適度な大きさになったそれを拾い集め、せっせと薪置き場に積み上げた。
ミケは、飾り気のないズボンとブーツに足を突っ込んでいるものの、上半身は裸だ。
私は、マキシ丈のストンとしたワンピースを身に着け、柔らかな布のミュールを履いていた。
ミケも私も、借り物を身に着けている。
というのも……
「私達って……結局、川に落ちたから助かったんですか?」
「正確には、着地点が川になったから助かった、だな」
崖から落ちて絶体絶命だった私達は、ネコの摩訶不思議な力により、地面ではなく水面に落下することで難を逃れた。
その際ずぶ濡れになった私とミケの服は日向に干しているが、そろそろ乾く頃だろうか。
「私は結局、落下の途中で気を失っちゃったみたいですけど……ミケとネコは、ずっと意識があったんですか?」
「さすがに私も、着水の直後は朦朧としたぞ。ネコは……あの時は、ピンピンしていたな」
ミケが、薪置き場の隅にいるネコにちらりと視線をやった。
今朝のネコは、別人……いや別ネコかと思うくらい静かな上、さっきから微動だにしない。
崖から落ちた後、私は四時間ほど気を失っていたらしい。
あれから一夜明け、時刻は現在午前六時を回ったあたり。
朝日が遠い山際から今まさに飛び立たんとしていた。