この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
「──ベルンハルトの女が命令するな。ここは、ラーガストだぞ」
見知らぬ男性が、いきなり掃き出し窓を押し開けて入ってくる。
准将や革命軍のリーダー、それからカタリナさんと同じくらいの年頃だろうか。
長い銀髪が目を惹き、端正な顔立ちをしているが、最高に疲れている時のミケよりもまだひどい隈をこしらえていて、とにかく不健康そうに見える。
ベルンハルト王国軍のものとは違う濃紺の軍服を着た彼は、抜き身の剣をすっとこちらに向けると、片頬を引き攣らせた嫌な笑いを浮かべて言った。
「久しぶりだな──カタリナ」
そのとたん、カタリナさんがガタガタと震え出す。
そうして、絞り出すような声で答えた。
「──殿下……王太子、殿下」