この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
32話 処刑されたはずの王太子
「い、一体、何が起こってるの……? 王太子って……」
『ラーガスト人であるあの女がそう呼ぶっちゅーことは……つまり、あれじゃ』
私は戦々恐々としつつ、腕の中のネコと密かにそう言い交わす。
掃き出し窓を開けて部屋に踏み込んできた男性を、カタリナさんは〝王太子〟と呼んだ。
状況的に見て、それはラーガスト王国の王太子を指すと思っていいだろう。
カタリナさんはもともと王太子の侍女だったというから、面識があって然るべきだが……
「で、でも……トラちゃん以外のラーガストの王族って、全員処刑されたはずだよね? まさか、ゆ、幽霊……!?」
『んなわけあるかいっ! こいつら全員足があるじゃろうがっ!』
どうやら幽霊ではないらしいラーガスト王国の王太子に続いて、同じ濃紺の軍服を着た男達が三名乗り込んできた。
ネコとこそこそ話していた私も、カタリナさんもメイドの少女も、あっけなく彼らに捕まってしまう。
とっさに剣を抜こうとした中尉に、ラーガスト王国の王太子が尊大に言い放った。
「──動くな。これより総督府は、このマルカリヤン・ラーガストが占拠する」
『ラーガスト人であるあの女がそう呼ぶっちゅーことは……つまり、あれじゃ』
私は戦々恐々としつつ、腕の中のネコと密かにそう言い交わす。
掃き出し窓を開けて部屋に踏み込んできた男性を、カタリナさんは〝王太子〟と呼んだ。
状況的に見て、それはラーガスト王国の王太子を指すと思っていいだろう。
カタリナさんはもともと王太子の侍女だったというから、面識があって然るべきだが……
「で、でも……トラちゃん以外のラーガストの王族って、全員処刑されたはずだよね? まさか、ゆ、幽霊……!?」
『んなわけあるかいっ! こいつら全員足があるじゃろうがっ!』
どうやら幽霊ではないらしいラーガスト王国の王太子に続いて、同じ濃紺の軍服を着た男達が三名乗り込んできた。
ネコとこそこそ話していた私も、カタリナさんもメイドの少女も、あっけなく彼らに捕まってしまう。
とっさに剣を抜こうとした中尉に、ラーガスト王国の王太子が尊大に言い放った。
「──動くな。これより総督府は、このマルカリヤン・ラーガストが占拠する」