この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜
「……さい」
「うん? 娘、何か言ったか?」
黙ってはいられなかった。
マルカリヤンを振り仰いでキッと睨むと、腹の底から声を振り絞って叫ぶ。
「うるさい! うるさいうるさい、うるさーい、ですっ!!」
「は……?」
マルカリヤンが、まるで言葉が通じない動物を見るような目をして私を見た。
それでも緩まない腕に──私は、躊躇なく噛み付く。
窮鼠猫を嚙む、リベンジの時だ。
『よしゃあっ! いいぞ、珠子! それでこそ、我の娘じゃっ!!』
「タマ……!」
うわっと叫んだマルカリヤンが、強い力で私を振り払う。
その拍子に勢いよくバルコニーの柵に叩きつけられそうになったが、ミケが間に体を滑り込ませて受け止めてくれたおかげで、事なきを得た。