この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜


「わーい、ネコちゃん! かーわいいいいいーっ!!」

「……え?」



 突如、野太い歓声が上がる。
 少しくぐもって聞こえるのは、ネコのお腹で顔面を覆われた准将の声だったからだ。

「はわぁ、もふもふぅ……ふわわわわっ……!」
『ぐへへへへへ……いやお前、語彙力死んどるな』

 准将が陥落したのを皮切りに、会議室の空気は一変する。

「うふふふ……チートは可愛いねぇ。どうしてこんなに可愛いんだろうねぇ。パパにチュウしてくれるかにゃ?」
『あーん、もー、しょーがないにゃあ! ミットーさんだけ、特別にゃん!』

 ミットー公爵とチートは相思相愛、ラブラブである。
 チートはともかく、大将閣下のその語尾……大丈夫だろうか。

「西部と南部の間には大きな街道が通ってるよね! あれを整備して、どっちもとっとと復興させちゃお!」
「ニャフフフーンッ!(それいい! パンには肉を挟んで食いたいもんね!)」
「自給自足って大事だよね! 北部のお花畑は半分野菜畑にしてもらおっ!」 
「うんうん、やっぱ外貨も必要だよね! それに僕、お花ダイスキッ!」

 子ネコを抱き上げてデレデレしつつ、中将や少将達もお互いの意見を尊重しあって妥協案にたどり着いたようだ。
 ネコフェロモンの作用なのか、四人とも知能指数が下がったような気がしないでもないし、メガネをかけたインテリヤクザの中将なんてまた人語を忘れてしまったが。
 ともあれ、さっきまでのギスギスしていた将官達は、いつも通りの和気あいあいとした雰囲気に戻ってくれた。
 改めて、ネコ達の癒やし効果を実感していたところで、私ははっとする。
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